これは僕がまだ赤ちゃんの時にお星様から聞いたお話です。
僕を寝かしつけて横で眠っているお母さんを起こさないように、内緒でお星様とお話をすることがあったのです。
だって・・・眠たくなかったのですもの。それに僕ができることはまだ泣くことしかできませんでしたから。泣いたら起こしてしまう・・・でも・・・と困っていたときカーテンの隙間からお話を聞かせてくれたのがお星様との秘密の夜遊びの始まりでした。
『この世界の片隅に空と海が1つになっている場所があるのです。
そして、そこでは何年かに1度だけ国中の人たちが海を大きな船にのって遊覧することができる催しがありました。
それはその国の王様から日頃働いてくれている国民へのプレゼントでした。
出港の日が決まるとお城から一人一人に招待状が贈られてきます。そして人々はその中にあるチケットを幸せそうに眺めるのでした。
私はその幸福に包まれた国の様子を眺めるのがとても好きでした。けれども、私はその幸福な灯りの届かない場所に住む貧しい二人の親子を知っていました。
誰も人が寄り付かなくなった小屋の中で母親と男の子がひっそりと暮らしていました。
この小屋は誰も住んでいないことになっていましたから国王様の招待状も届きません。
そのため男の子はこの船に乗ったことがありませんでした。
『お母さん、今年は僕もお船に乗れるかなー?早く乗りたいな~へへへ』
哀しみを隠すように笑顔をみせる我が子の姿にお母さんは涙を堪えることができませんでした。そして、この子を悲しませたくないとお母さんはお城にお願いにいきました。
『この船の定員はチケットの数でピッタリです。一人でも増えれば船は沈んで国が滅びてしまいますので、チケットを持っている人以外は乗せることはできません。』
白い髭をピンと伸ばした大臣が言いました。その帰り道、港にはとても大きな船が停泊していて、出港の準備をしていました。
そして、その近くには子供たちがワーワーと歓声をあげていました。その姿をみてお母さんはまた泣いてしまいました。
『どうしましたか?』
そんな姿を不思議そうに見ていたお爺さんが声をかけました。そして事情を知った
お爺さんはニコリと笑みを浮かべ近くのベンチに座っているお婆さんの方にいきました。
そして、2枚ずつ招待状とチケットを渡してくれました。
『私たちはこうして静かに二人でベンチに座って海を眺めているだけで幸せですから、息子さんと一緒に行ってきなさい』
そう言い残して老夫婦は手を繋いで薄闇の中に溶けていってしまいました。そして、お母さんは男の子のところに幸せを届けに一目散に走りました。
(じゃあ!お母さんと男の子は船に乗れて幸せだったね!)と僕は言いました。すると続けてお星様は(いいえ、二人は船には乗らなかったのです。)と続けました。
実は出港の日、乗船手続きの時にチケットを無くしてしまった女の子がいたのです。
そして、その女の子にこの男の子は自分のチケットをあげたのです。その姿をみてお母さんはとても嬉しそうでしたよ。
そして二人で船を見送って幸せそうに手を繋いで小屋の方に帰っていきました。
僕はその話を聞いて、この男の子のようになりたいなと思ったのを覚えています。
【岡田直輝】
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『チケット:4200円(ドリンク込み)』
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