移植が決まって浮かれていたけど、
その前に大仕事が残っているのを忘れてた。



そう、
黄体ホルモン切り替えの自己注射だ。



これがとにかく痛い。



痛いとわかっているのに
自分自身で
注射針を刺さなければならないのは
拷問に近い。




しかも筋肉注射なので
直角に根元までブスっと刺すのだ。





右臀部を4つに分けた右上に
ブスっとな。

左の場合は左上をブスっとな






この体制もなかなかきつい。





斜め後ろを振り返りつつ
その体制をキープしながら刺すのだから。




体の硬いオバサンは
体も腕もプルプルしてくる。





緊張のあまり
アンプルから注射器に
上手く吸い上げられない。




1/3も残ってるのはマズイだろうと、
空気を抜いてはもう一度吸い上げてを
繰り返してしまった。





準備が整いいざブスッとな。




最初の皮膚さえ通過させれば
あとはスルスル根元まで入っていく。




あとは注射器の中身を
注入させるだけだ。



でも重くてなかなか上手くいかない。




時間をかけて押していく。




体がさらにプルプルする。




何だか最後まで押せてる気がせず
薬が残ってしまってはいけないと、
無理に押し込んでしまった。





“ピキーン”

と走る激痛。





針が深く入り過ぎて
神経に障ってしまったのか?




慌てて針を抜くと同時に
吹き出す血液。





押さえても溢れてくる。





もう大パニック。




筋肉注射なので打ったあとは
揉まないといけないと
言われていたのを思い出した。





血まみれの中、
無理に揉んでいたら
更に出血してしまった。




いくつも
アルコール綿を使ってしまったが
全部真っ赤に染まった。





奥に刺さり過ぎて
痛みも強く残っている。




でも何とか
大役を果たせた安堵感もあり
自然と涙が溢れてしまった。





治療で苦労するのは女性ばかり。






ホルモン剤をたくさん飲んで
副作用に苦しむのも女性。



クリニックで予約してるのに
4、5時間待たされるのも女性。



仕事の調整を強いられ
常に綱渡りなのも女性。




採卵手術、移植手術も
常に女性だけが受ける。

当たり前なのだが。




卵子提供では
女性一人が海外に出向き移植を受ける。





何だか切なくなってしまう。





仕方ないこととはいえ
だって男性は自分の生活を
何一つ犠牲にすることはない。




そりゃいくら
治療内容を説明したって
覚えようとしないよね。




いつまでたっても他人事だよね。




そんな
わかりきった想いまでが溢れ出し、
涙が止まらない。





クソッ、
せめてお金だけはたっぷり
出して貰うからな、



そんな心境にさえなってしまった。




おケツはまだジンジンしてるよ・・・
辛い・・・