■声区の区分法として最も有名な3声区論
この3声区論についての学術的な解説をします

 

発声学概論

3声区論の解説

この項目における学習項目

3声区論とは
声区とはなにか
3声区論の2つの立場
①地声と裏声の間に第3の声区があるという立場
②裏声の強化種として第3の声区があるという立場
各声区のその他の呼び方
実際何が正しいのか
2声区論

この項目の到達目標

到達度確認
声区とは何かわかる
3声区論についての概要がわかる
声のメカニズムの観点から、正しい声区の把握ができる

 

 

◆3声区論とは = 人間の声を3つの区間に分類する分類法
 最も低い音程から【地声】【ミックスボイス】【裏声】の3つに区分するのが一般的
 普段よく使う地声と裏声の他に、もう一つの声種が出現するという考え方となる

◆声区とはなにか
 声区 = 独立した発声メカニズムを持つ声という定義となっている
 →他の声とは明確に仕組みが違う物を「声区」と呼ぶ、という事
 ※声区についての詳細は関連記事を参照

◆3声区論の2つの立場
 3声区論には2種類の見解がある

 ①地声と裏声の間に第3の声区があるという立場
 ②裏声の強化種として第3の声区があるという立場

 上記2つの見解があり、それによって訓練法や習得ステップなども異なっている
 以下に大まかな2つの立場の内容を解説していく

◆①地声と裏声の間に第3の声区がある立場
 ・この立場での定義
  低音部に地声、高音部に裏声、橋渡しとして中音域にミックスボイスという声があるという考え
  地声と裏声の声質には大きく違いがあり、そのまま音程上昇すると声質の変化が目立つ
  →両者の混ざったような声質であるミックスボイスという声を中継することで
   最小限の声質変化で音程上昇するという考え

 ・よくある指導法
  この立場の場合、裏声の強化をした後に地声の高音を出していく事が多い
  強化された裏声が支えとなって、通常裏返る音域で全く新しい声種が出てくるという指導法となっている

◆②裏声の強化種として第3の声区がある立場
 ・この立場での定義
  低音部は地声を使用して発声する
  高音部は裏声と、裏声の強化種である「ミックスボイス」という声の2種類を使うという考え
  →ミックスボイスは裏声の亜種、地声とは違うけど地声っぽく聞こえる裏声という扱い

 ・よくある指導法
  この立場の場合、基本の考え方としてミックスボイス=裏声というのがある
  →裏声に声帯閉鎖をかけて強い声にして、裏声の代わりにその声で高音部を歌うという指導法が多い

◆各声区のその他の呼び名
 3声区論には、それぞれの声区を指す用語が他にもいくつかある
 有名なものとしては

 ・チェストボイス / ミドルボイス / ヘッドボイス
 ・胸声区 / 中声区 / 頭声区
 
  上記は、細かなニュアンスの違いはあるものの概ね前述の3つの声区と同様の意味で使われる用語
  その為上記の用語が出てきたら「3声区論の事を言っているんだな」と考えて概ね大丈夫

 


◆実際なにが正しいのか
 ・ミックスボイス = 独立した発声メカニズムは発見されていない
  →ミックスボイスという声の種類があるわけでは無いという事

 ・地声と裏声は、内甲状披裂筋(内筋)の入り具合で変化する繋がった声
  一般的にミックスボイスと呼ばれるのは、単に地声と裏声の間のポジションというだけの事
  内筋100%を純粋な地声、内筋0%を純粋な裏声とすると、内筋1~99%はすべてミックスボイスとなる
  発声においては、内筋0%~100%までの声を自在にコントロールすることが重要となる

 ・ミックスボイスという1つの声があると考えるのではなく
  内筋の入り具合のバリエーションの事だと捉えるのが重要

 ・ミックスボイスという1つの声がある = 声が3つの声区に分離していると認識してしまうと
  上記の様な内筋の自在なコントロールが出来なくなってしまうため要注意!!

◆2声区論
 声区論としては、現在2声区論と7声区論が最も学術的に根拠のある説となっている
 ・2声区論 = 内甲状披裂筋の有無による分類法
 ・7声区論 = 各音域に存在する【ブレイク/セグメント】と呼ばれる音質の変換点による分類法
 当スクールでは、基本の考え方は2声区論の立場をとっている
 (発声習得においては、音域による区分より声帯運動による区分の方が訓練内容の整理が簡単なため)

 

 

 

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