発声を学んだり考察する上で切っても切れない関係にある声帯振動、ですがこれがどの様な仕組みで起きているのか知らない人は少なくありません。

そこで今回はこの声帯振動の仕組みについて考えてみます。

”ちなみにこの記事はすごくマニアックな内容になっております。声を仕組みから理解したい!という方にはお勧めですが、そうでない方にはただ難しいだけに感じられるかもしれないので読まなくても大丈夫かもです。”

 

声帯振動の仕組み

 

発声をする時の仕組みが

・声帯を閉じる→息を吐いて声帯を振動させる

この様な仕組みだと言う事は皆さんご存知かと思います。ですがこの声帯を閉じるという動きの時、2枚のヒダ状の器官である声帯同士が完全に密着しているわけでは無いという事はご存知でしょうか?

声帯が完全に密着してしまうと間を空気(呼気)が通る事は出来なくなり、発声をする事が出来なくなってしまいます。(声が詰まる状態。咳ばらいをする時に一瞬息を詰めるようにしてから咳ばらいをするかと思いますが、その時の詰めている状態が完全に密着した状態です)

発声時には声帯同士が触れるか触れないかギリギリの所まで接近します。そしてほんの少し開いた隙間を空気が通っていきます。

この様に二つの物体の間を空気など他の物が通り過ぎると、その隙間の気圧が下がるという現象が起こります。これをベルヌーイ力(ベルヌーイりょく)と言うそうです。

 

ギリギリまで接近した声帯の間でベルヌーイ力が働き声帯同士をぶつけます、そうすると一瞬だけ声帯同士が密着するため息が通らなくなります。(声帯の閉鎖期と呼びます)

そして息が通らない事でベルヌーイ力が無くなり声帯が再び開き、そこを呼気が通ってまたベルヌーイ力が生まれる

これが声帯が振動する仕組みなのです。

文章だとわかりづらいかと思うので、下に図解したものを用意しました。(絵が下手なのはご愛敬)

上図の様に

①密着しないギリギリまで声帯が近づく(声帯閉鎖)

②息が通りベルヌーイ力が生まれ、声帯が密着する(声帯振動)

③息が止まることでベルヌーイ力が無くなり、声帯が開く⇒①に戻る

 

というサイクルで声帯振動が起きるのです。

また、上ではわかりやすくするために、ベルヌーイ力発声時には声帯が密着すると書きましたが、裏声発声時には声帯の密着は起こらず常に空気が通り続けます。(閉鎖期が無くなる)

 

強い声帯閉鎖力の必要性

上記の様に声帯は密着しない事により正しく発声することが出来ます。

その声帯に過度な閉鎖力がかかった場合、息が詰まって声帯が振動することが出来なくなってしまいます。

閉鎖筋群や内・外筋による声帯の過度な接近・密着、または内・外筋の過剰運動による声帯の硬化などが原因で声帯振動により強い呼気が必要となり、また閉鎖や硬化が進んでいくと言う悪循環が起きてしまいます。(各筋肉の働きや名称に関しては内喉頭筋とその働きについてを参照)

そうするといずれ声帯や呼気限界が訪れ、声が割れ(閉鎖を保てなくなる)たり裏返り(内筋や外筋、閉鎖筋群が急にほどける)が起きたり、あるいは息が吐けなくて声が止まって(声帯密着による振動の停止)しまったりします。また、上記の様な場合声帯にかかる負荷が大きくなり、喉を傷めやすくなってしまいます

上記の様な状態を、一般的に「喉締め声」「喉声」などと言ったりします。

 

もちろん息漏れが激しかったり声に芯が出ない時には閉鎖力を鍛える必要がありますが、ただ強ければ良いと言うわけでは無くそれぞれのバランスが大切になるという事ですね。

 

まとめ

・発声時は声帯が完全にくっついてる訳じゃなくて、少しだけ隙間が無いとダメだよ

・開いた隙間に息を通す事で初めて声が出てくるよ

・ベルヌーイ力とか閉鎖期とか、言葉は覚えなくていいと思うよ

・とにかく強く閉鎖しようと言う考えは大変危険です!!!

 

 

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