天の蛇口を
捻り過ぎ
箍が外れて
溢れた様に
出続ける水、水、水
自然に立ち向かえは
しない事
解っています
私達
私達
ずるい人間より
もっと小さな
健気な命
愛しい命が
凍えて
震えています
この仔達は
人間に邪魔者にされ
自然に怯え
ずぶ濡れの中で
じっと耐える
誰の為
何の為
この仔達は
あまりに穢れ無き
命が故に
人間からの仕打ちにも
自然からの
仕打ちにも
全てを受け止め
じっと震えて
只々
我が身を守る
そして
もし、もしも
自身が朽ち果てる時を
悟ったなら
誰をも恨まず
そっと身を隠し
最後の最後まで
裏切り続けた
人間にさえ
忠誠の姿勢で
死をも受け入れる
自然と共に生きて来た
歴史の未だ残る
野生たる
所以が
この仔達を
そうさせるのだろう
後に強いられた
人間達と仲良く
暮らしていく為
癖付けられた忠誠心を
尽くし死して行く姿は
どんな逆境に遭っても
純真無垢な
ペットと名付けられた
悲しい性なのだろう
なら
彼等に
人間と共に
毛布を分け与える事が
そんなに
惜しげな事なのか
彼等によって
助けられた事は一度もないとでも
言うのだろうか
災害寺において
匂いを嗅ぎ分け
共に瓦礫の下で
頬を舐めて
人間を起こそうと決死に
務めた事もあろう
そんな彼等に
何の罪があろうか
獣を嫌いな人に
問おう
貴方が
瓦礫の下でたった一人
額より流血し
心細く誰も助けに来ないと
瞼を閉じかけた時
荒い息遣いで
人間の救助に向かう
獣が近づいた時
手を払い！
唾を吐きかけ
その獣を追い払うのか？
もし命乞いせず
追い払うのであれば
毛布は与えてくれなくとも
構わない！
しかし
確実に
日常毛嫌いしている
獣にきっと
貴方がたは
助けて
私はここよ！
と命乞いするだろう
その時獣は
貴方を見捨てはしない
必死で前脚
土を掘り
救助へ向かおうとするだろう
どうか
彼等も私達人間と
同じ生き物と受け入れ
暖かい
毛布一枚と
暖かい
人の手の中の温もり
たったこれだけを与えて
あげてほしい
彼等は我々人間の様に
あれが食べたい
宝石が欲しい
ブランドに身を包みたいなど
とは言わない
たった小さな人間の
胸、手の温もりだけを
待つ
只、それだけ！
人間と共に歩んだ
長い歴史の彼等に愛を与えて欲しい
m.ma
少々長めのひとり言となりましたが
彼等は確実に人間の友であり家族です。
この度被害に遭われた方々
お見舞い申し上げます。
また惜しくも命を落とさずるえなかった
方々へご冥福をお祈り申し上げます。