少年ドラマシリーズという呼称が明確に定義されるのは、放送後のことであ
り、昭和47年の「タイム・トラベラー」から昭和58年の「だから青春・
泣き虫甲子園」までの99作品を現在、同シリーズとして扱っています。

昭和47年「続・タイムトラベラー」のスチール写真。
左側が主役・芳山和子役の浅野真弓さん。

昭和63年に「ビデオギャラリー」という番組において少年ドラマシリーズ
が特集され大反響を呼んだのですが、その際「同シリーズはNHKでは1つ
も保存されておりません。」と発表されました。

昭和49年「霧の湖」のスチール写真。
主役・宇野久美子役の上原ゆかりさん。

少年ドラマシリーズの大多数はVTR作品です。なぜNHKは番組を保存し
ていなかったのでしょうか?
その理由としては昭和40年代、テレビ放送用の番組が、再利用ができない
フイルムから重ね撮り、編集可能なVTRに切り替わる時期だったのですが
VTRテープは1本が自動車1台と同じくらい高価であったこと。
さらに、すべての番組のVTRを保管しようとすると、広大な保管スペース
が必要となり、現実的には不可能であった。
デジタル処理してハードディスクに保存はまだまだ先の時代のことでした。
しかも当時は、ネット配信など二次的利用が考えられなかったこと。
再放送する場合も原作者、出演者と再度契約し直さなければならないこと。
ということで、1回放送したものを後生大事にとっておいて何になる?とい
うのが、当時の一般的な風潮でした。

昭和51年「明日への追跡」のスチール写真。
右側が主役・落合基役の沢村翔一さん。

「ビデオギャラリー」の放送がきっかけになり、少年ドラマシリーズを録画
していたビデオテープを持っているという人から提供が相次ぎ、現在、すべ
てではありませんが、NHK公開ライブラリーで無料視聴できるようにもな
りました。

昭和52年「幕末未来人」のスチール写真。
主役・和田文彦役の星野利晴さんと、ゆき役の古手川祐子さん。

DVD発売、ネット配信開始に際して、映像提供者の協力、少年ドラマが再
び世に出る経緯が、全く触れられていなかったのが残念です。
当時、普通のサラリーマンには手が出なかった家庭用ビデオレコーダーで録
画したテープを、何十年も持ち続けていくことがどれほど大変かは、自分自
身に置き換えれば実感できると思います。

昭和54年「七瀬ふたたび」のスチール写真。
主役・火田七瀬役の多岐川裕美さんと、ノリオ役の新垣嘉啓さん。

ビデオが発掘され公開された作品。
昭和47年 「タイム・トラベラー」最終回。
昭和48年 「つぶやき岩の秘密」全話。
昭和49年 「ユタとふしぎな仲間たち」全話。
      「霧の湖」全話。
昭和50年 「なぞの転校生」全話。
昭和51年 「明日への追跡」第1回・9回・11回・最終回。
      「快傑黒頭巾」全話。
      「風の又三郎」第2回・3回・最終回。
昭和52年 「11人いる!」全話。
      「未来からの挑戦」再放送版全話。
      「赤い月」最終回。
      「幕末未来人」全話。
昭和53年 「その町を消せ!」全話。
      「寒い朝」最終回。
昭和54年 「七瀬ふたたび」全話。
昭和55年 「オハヨウ先生こんにちは」第6回。
      「ぼくとマリの時間旅行」全話。
      「家族天気図」全話。
昭和56年 「星の牧場」全話。
      「あんずよ燃えよ」全話。
昭和57年 「芙蓉の人」全話。
      「おれたち夏希と甲子園」全話。
昭和58年 「だから青春・泣き虫甲子園」全話。