このままもっと vol.33 | sakurabaでいっぱい 〜SA妄想小説〜

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赤さんと緑くんによるソフトな萌キュンイチャコラですが、激しめなものも書いておりますので未成年の方、男性の方はご遠慮下さい。

コメントは基本的に未承認にしております。




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。。。。。

S-side





ふふ、雅紀のヤツ、ビックリしてる。


俺は春風園の前でポカンと口を開けたまま立ち尽くしてる雅紀を見て口元が緩むのを感じた。



「ほら、ボーッと突っ立ってないで入るよ?」


雅紀の腰を支えて一緒に中に入っていく。


と、言ってもここに来るのは二回目なんだけど。



一回目は、雅紀に内緒で二宮さんと一緒に園長先生に会いに来た時。




「翔ちゃん……なんで、」

「ま、とりあえず中に入ろ?」


建物の中に入ると一斉に子供たちが雅紀やカズを取り囲んだ。



「まさきにぃに!」

「まーくん!」

「カズー!」


「だから、カズって呼び捨てすんなって言ってんだろ!」


二宮さんはやんちゃそうな子供たちにグチャグチャにされてる。

モンクを言いながらも嬉しそうだ。



雅紀は雅紀で主に女のコたちに囲まれてる。



「久しぶりだね。みんな、元気してた?」


雅紀がひとりずつ優しく声をかける。


「げんきー!でも、まさきにぃにがいなかったからさびしかったー!」


そんなことを言う子に、雅紀は優しく頭を撫でてやってる。



「ゴメンね、あんまり来れなくて」

「きょーはどーしたのー?」

「あ、今日、ね……なんだろ……」


困った顔をオレに向けてくる雅紀。




「そろそろ……準備するか」

俺は潤と妹に声をかける。


「そうだね。じゃ、よろしくな」

「はいはーい。じゃ、雅紀くん!行きましょ」

「え?え?どこに?」

「いいから!ついてきて!」


雅紀が妹に強引に連れていかれた。




その間に俺は潤と二宮さんとでほかの準備をする。


もちろん園の子供たちにも手伝ってもらって。




しばらくすると妹が帰ってきた。


「こっちは準備バッチリよー」

「おー、こっちも大丈夫」

「じゃあ、連れてくるわね」

「じゃ、俺も行きます」

妹と二宮さんがまた雅紀の元へと向かったので、他のみんなは指定された自分の場所に移動する。

園長先生もゆっくりと入ってきた。



「園長先生。今回は俺のワガママを聞いて頂いてありがとうございます」

「いえいえ、私も楽しみですよ。
こちらこそ、雅紀のためにこんなにして頂いて感謝の言葉しかありません」


園長先生は優しくそう言うと、急きょ作り上げた簡易な主祭壇の前に立つ。




俺もその傍らに立った。



「翔さん、キンチョーしすぎ!
顔こわばってるよ!」


近くのイスに座っている潤がそう言ってからかってくる。


「うるさい!キンチョーするに決まってんだろ!」

「ふふ、がんばってよー」

「言われなくてもがんばるよ……」



一生に一度しかないもんな……


キンチョーしすぎて失敗、なんてことのないようにしなきゃ……



ほかのイスに座っている子供たちも、状況がわかってるのかわかってないのか、キョロキョロしてたり、ワクワクした顔をしてたりみんな様々だ。


そんな子供たちの様子を見ていると少しずつキンチョーもほぐれてきた。




「それでは!新婦入場でーす!」


妹の声がして、音楽が流れてくる。



ドアが開いて、雅紀と二宮さんが立っている。



くくっ、アイツまだポカンとしてやがる。



二宮さんの腕に軽く手を添えながら、状況をまったく把握してないような顔で部屋の中を見渡してる。



「まーくん。行くよ」


二宮さんに促されて、たどたどしいながらも部屋の中へ歩いてくる。



「まさきにぃに、キレー!」

「カズもかっけーぞー!」


またカズって言われてるけど、二宮さんはさすがに無言でチラッと見るだけで黙ったまま雅紀と並んで歩いてくる。



俺の立ってる場所まで来ると、

「ほら、まーくん。俺はここまで」


そう言って雅紀の腕を外して俺の元へと誘導する。



「翔ちゃん……これって……」

「俺たちの、結婚式だよ?雅紀……」

「え……?」



雅紀がますます目を見開いて俺を見上げる。


その目がみるみるうちに潤んできている。






つづく……