最近、小説「幻庵」を読み終えた。

 

江戸末期に活躍した幻庵因碩(十世井上因碩)を中心とした物語。

棋士の修行の大変さ、勝負の厳しさや当時の人間模様等が実に生き生きと描かれ、囲碁についての解説も施され囲碁をご存じ無い方でも楽しく読めると思う。

加えて当時の史実を、相当時間を掛けて調べられたのでしょう、私の知らない話も幾つか有り、特に若い棋士達には、是非読んで欲しい作品。

中でも碁券(馬券や車券の様なもの)が売られていた、という話には、読みながら思わず「エッ!!」と声を上げてしまった。

 

昨日、大阪のホテルで井山王座の就位式、パーティーが行われた。

折よく、幻庵の著者、百田尚樹先生も見えられたので、ご挨拶をし、訊ねてみた。

「はい。碁券が発行された、という記録が残っていました」

 

私、碁券という言葉を耳にしたのは、初めてではない。

入段間もない頃に行われた棋士総会の席(50年近く前ですね^^;)

囲碁界を発展させる為には、という話題になった時、橋本宇太郎先生が

「私は予てより碁券を発行したら良いと思っているのですが」と発言された。すかさず某棋士が

「先生、それは命が狙われる様になるからダメでしょう!!^^」

 

皆、大爆笑の中「そうですか。ダメですかね...」

橋本先生は少し残念そうなお顔を、しておられたのが印象に残っている。