凍結胚移植から生まれた子供は大きくなると以前から報告があります。どうしてこの様なことが起きるのかいまだに詳細は不明です。
今回の論文では凍結胚移植後に見られる大きい子供(LGA)が凍結によるものかまたは子宮内膜の準備の仕方のどちらと関連があるかを調べたものです。
結果
ホルモン補充周期ではLGAのリスクが高く、凍結方法(急速凍結or緩慢凍結)や胚のステージ(分割胚対胚盤胞)による差は認められませんでした。
この研究は、フランスのIVF登録データベースから得られ、2014年から2018年の間のデータをもとに、複数の不妊治療センターから集められた情報を用いて行われました。
この論文の言いたいこと
凍結胚移植において、凍結方法(急速凍結or緩慢凍結)や胚のステージ(分割胚と胚盤胞)に関わらず、ホルモン補充での凍結胚移植が子供が大きくなる(LGA)のリスクを高めることが関連しているということです。
一方で、胚の凍結方法や胚のステージ自体はLGAのリスクとは関連がないことがわかりました。
これは、胚を凍結保存する技術やその段階よりも、子宮内膜をどのように準備するか(排卵周期で移植するか、排卵させないでホルモン剤のみで)が、新生児の体重が大きくなるリスクに大きな影響を与えていることを示しています。
この論文から言えること
凍結胚移植はやはり排卵させて自分の黄体を作り黄体ホルモンを出させることが必要です。黄体は黄体ホルモンだけではなく様々な着床や妊娠維持に好ましい物質を出しています。そして絶妙な黄体ホルモンとエストロゲンの分泌をしています。多すぎても少なすぎても良くないです。
保険が始まり回数制限があるので自然周期は難しいからホルモン補充周期にする施設が増えているとしたら本末転倒です。
確かに日程を合わせたり保険を使うことは大切ですが一番大切なのは子供の健康です。凍結胚移植は可能な限り自然周期で移植をすることです。
Human Reproduction, 2024, 39(4), 724–732
Is large for gestational age in singletons born after frozen embryo transfer associated with freezing technique or endometrial preparation protocol? A longitudinal national French study
https://ameblo.jp/kazutom/entry-12753917510.html
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