あのうだるような暑い夏の夜

回春という不思議な世界に足を踏み入れてしまった僕は

すっかりこの世界に取りつかれてしまった

気が付けば芯寧堂の最寄り駅に降り立ってしまっていた

駅から予約の電話を入れる

前回のような緊張感はなくすんなり予約が取れた

そんな自分に少し成長したような気になる

日中の残暑に蒸されたアスファルトの熱を感じながら一歩ずつ店へと近づいていく

大学横の古びた建物

やはり道行く大学生の目が気になり、

店の前を1往復・・・

2往復・・・

3往復目にしてようやくチャイムを鳴らし、ドアを開ける

ああ・・・やっと入れた・・・

安堵感に包まれた僕を迎えてくれたのは担当のナナさんだった。

「また来てくれたんですね」

そういって、笑顔で出迎えてくれた彼女に、前回ほどの緊張が無い僕は、少し恰好をつけてみる

「いや、たまたま仕事で近くを通ったから・・・・」

そんなちっぽけな背伸びを知ってか知らずか、僕を立ててくれるナナさん

「お仕事忙しいんですね、では今日はゆっくりしていってください」

そういって、施術台へ案内され、シャワーを手短に済ませ横になる。

リピーターになった僕

なんか「自分の居場所ができる」ってこういうことをいうのだろうと思った。

ゆっくりと進んでいく施術

ついこの間マッサージしてもらったばかりだから正直あまり体は凝っていない

それよりも、自分の心の居場所、そして女性の温もりを求めて足を運んだという方が正しいだろう

丁寧な施術に身も心もほぐされていく

施術は着々と進み、

背面、上面とテンポよく進んでいく。

そして、鼠蹊部へ

前回の衝撃が脳裏によみがえる

その時の興奮で早くもあそこは硬直していく。

きっと男が一番興奮するのは

これから起こりうる出来事を期待しているときではないだろうか

実際に鼠蹊部の施術に入っているときよりも

「これからいよいよ鼠蹊部か・・・」

と思っているときの方が、興奮を高めるだろう・・・

そしてその興奮はきっと彼女にも伝わっているはず

きわどいところへの手技が続く

サワサワと

そして時には大胆に強く

しかし絶対に一線は超えない生殺しの状態だ

僕はもうその快楽に身をゆだねていた。

「ああ・・・やっぱり気持ち良い」

宙をさまようようなふわふわとした気持ちに、日々のストレスなど忘れていた

「お疲れ様でした。」

その一言で僕の宇宙への小旅行は終わった

「本当にはまってしまうかもしれない・・・」

前回の初訪問で芽生えた気持は、確信へと変わりつつあった・・・