暑い。

暑すぎる。


ちょっと勿体無いけど、

エアコンをガンガンにして方々の窓を全開にしたら、

強風の冷風が部屋中を駆け巡って気持ちよかったわけさ。


んでベッドでゴロゴロしてたらね、

寝ちゃったんだよ。。。




どれくらいかなぁ?

1時間ちょっと。


それで今飛び起きてこれを書いてるのね。

忘れないうちにと思って。


今ならほぼそのまま覚えてるから。




最初に言っておこうかな?

「信じるも信じないもあなた次第」と。


こんな起き掛けに、

えこだって大ホラ吹きたくないからね。


それだけは分かってね。



とりあえず涼しかったくせに寝汗ビッショリ。




そりゃそうだ。

後半なんて、金縛りにあってるだけで、

意識はあったんだもの。。。。








薄らと意識が戻っていく。


えこは目覚めの瞬間、

これからやらないきゃいけないことを整理することが多い。



ん・・もう11時か。

為替をチェックして、

ニュジがストップに掛かってないようなら決済するか。。


んでご飯食べて電話して・・・



よし!おきy・・・ウガガガ




いつもならこのタイミングで完璧に目覚めて飛び起きるてるのに、

起き掛けの掛け声「よいしょ!」の言葉が喉の奥に引っかかった。



そのまま声を張り上げようにも全て押し殺され、

「あうが」「おっおっお””」とか訳の分からない言葉にしかならない。


それが金縛りのせいであることはすぐに分かった。

身体が全く言うことを聞かない。


金縛りの原因はもはや解明されています。


レム睡眠中に目を覚ましてしまった場合、

身体はまだ寝ていて麻痺状態になっているということ。


なので、それが解除されるまで、

焦らず待つだけで良・・ううう!!



身体が引っ張られる。

何これ何か見たことある!!


エクソシストとかそういうやつ!!

ポルターガイスト??


確か「騒々しい霊」って意味だっけ?



てかそんなのどうでもいい!!



か、身体が引っ張られる!!



ベッド脇の壁に背中を押し付けるように、

壁に張り付いてしまった。


動かそうとした腕も、

まるで引力に逆らうように壁にビターンと張り付いた。



焦りがピークに達する。

混乱が激しくなる。



なに?なに?なんなの!?






すると。。。





















































はぁぁ・・・・




長い長い男の人の溜息が聞こえてきた。


それがどこから聞こえてくるのかはすぐに分かった。




目の前に座っている人が原因だ。




ベッド脇に置いてあるイスに座って、

力なくドンヨリと頭をもたげている。






はぁぁ・・。


こういうことをしたいんじゃない。

こういうことをしたいんじゃない。

こういうことをしたいんじゃない。



男はゆっくりと顔を上げて、

コチラを見つめた。


えこの鼓動は早いままだったけど、

不思議と怖さは感じなかった。


それでもえこは何もしゃべれないので、

男の独り言を延々と聞くことになった。







わしわの。

霊と言っても悪霊の類じゃ。


でも悪霊は全てが悪いわけじゃない。

悪いことはしていない。


気づいてほしい、ただそれだけなんじゃ・・



お前には悪いことをしたのぅ。

悪いことをしたのぅ。



でもの。

ちゃんとして欲しいんで?




これ見てくれぇや。






男は手のひらに銀色の小物入れを置いて見せた。





これはお墓に置いとってくれとんじゃけどの。

これにの。これにの。


女の子がりんごを入れてくれたんじゃ。



わしわの。

知ってか知らいでか、りんごがずっと好きでの。


さわりとうて、さわりとうて。



ほいでの。

蓋を開けたらの。



りんごの代わりにこれ見てみい。




小物入れをえこに近づけ、

中を見せた。



りんごは入っていない。

その代り、紙切れらしきものが入っていました。




これなんか分かるか?

見てみい。


取り出すと、それは古い旧札の千円札でした。

それともう一枚。


女の子が鉛筆で書いたと思われるメッセージ。





「おとおさんに、腐るからお金にしとけといわれたから、

これで買ってね」





なんなんやこれは。

なんなんやこれは。



わしにの。

お金とかいらんじゃろ?


わしわの。

りんごが良かったんじゃ。


さわりたかったんよ。

さわりたかった。





それからよ。

誰もこん。


誰もこんのよ。



この口惜しさ。


わかるか?

わからんじゃろ。




ちゃんとせいよ。

ほんまちゃんとしてくれぇよ。



りんごじゃけの。

次はりんごじゃけの。







急に体が壁からずり落ちた。

咳払いをするとちゃんとした咳も出る。


目の前から男は消えていた。

ごつごつした、ちょっと鼻に特徴にある職人系のおじさん。





なんかマユツバで良くわからない話だけど、

今年はちゃんと墓参りに行こうと思いました。


りんごを持ってね。