Q&A2283 新鮮初期胚移植?凍結胚盤胞移植? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 41歳
A病院で、ショート法で2回 採卵しました。A病院は受精後3日目の初期胚をその周期に移植するのを基本としています。残った卵が胚盤胞まで育ったら凍結し、次の周期で移植。医師が言うには「培養液の中より母体の中の方が良い環境だから、初期胚でもどす。初期胚でもどさないと胚盤胞まで育たない人は移植がゼロになってしまうから」と。結局、A病院では着床すらしませんでした。

B病院に転院し、医師から「今は胚盤胞まで育てて凍結し、その周期は子宮が刺激されて環境がよくないから、ちがう周期に移植するのが最近の主流なんだ」と言われました。

確かに他の方のブログを読んでいると、採卵した周期に移植している方はあまりいないような気がします。本当のところ、どうなんでしょうか。

 

A A病院の方式は古典的なものであり、現在の日本ではB病院の方式が主流です。

その大きな理由は、日本人には凍結胚移植が合っているからです。新鮮胚移植より凍結胚移植の方がどの年代の方でも約10%妊娠率が良いことが、日本産科婦人科学会のデータで明らかにされています(初期胚も胚盤胞も同様)。これは東アジア人(日本、中国、韓国)に共通の現象であり、白人では新鮮胚移植と凍結胚移植の妊娠率は同等です。したがって、欧米では、現在もA病院の方式で行われていることが多くなっています。ただし、PGT-A(着床前スクリーニング検査)を実施する場合は、検査結果が出るまでの時間が必要ですので、欧米でも凍結胚移植となります。

 

下記の記事を参照してください。

2019.7.17「凍結胚 vs. 新鮮胚:日本産科婦人科学会からの報告

2018.12.12「☆妊娠中の赤ちゃんの発育は妊娠方法で異なる!?

2016.12.23「英国における新鮮胚移植と凍結胚移植の比較

2016.6.20「アジア人には凍結融解胚移植がお勧め!

2014.5.13「凍結胚移植の赤ちゃんは大きく生まれる

2013.7.15「分割胚でも凍結融解胚移植

2013.1.24「凍結融解胚移植では周産期のリスクが低下

2013.1.19「☆☆凍結融解胚移植のすすめ

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。