ご訪問、ありがとうございます。
物議を醸し出したあの投稿から年数が経ちましたので、そろそろ書き直してアップしようと思います。
あの表現がスカッとして良かったのに！
という方もいらっしゃるのは事実です。
あの表現だったからこそ、読者が一気に100人以上も増えたのは事実なんです。
が、
あれは文章が長すぎましたからね。
今の私にとっては、そのことより、その後に起こったことの方が重要というか、面白かったというか。
また前置きが長くなりました。
初めての方もいらっしゃいますので、簡単に説明しますね。
さて。
ある商業施設でデモ演奏をした時のこと。
もちろん、そこは不特定多数の方がいらっしゃるところなので入場料金は発生しません。
施設側から謝礼金を頂いているということもありません。
私、普段からそういう場所での演奏を行なっているわけではなく、その時はある効果（勧誘）を期待してのデモ演奏でした。
たった２曲ほどの演奏でも、立ち止まったりベンチに座って聴いていってくださったり、もちろん“期待した効果”もあり、中には涙を流して聴いてくださった方もいました。
そんな中、全く面識のない方がいきなり
「うちの施設で歌ってよ」と。
話を聞けば
「謝礼金は出せない」
ということでしたので、
「私にはいらないけれど、ピアノ伴奏をしてくれる人の分はお願いしたい」
と言いましたら
「うちの施設にピアノを弾ける人（職員）がいるから、伴奏だったらその人に頼めばいい」
ということでした。
演奏されない方には、これがどういう意味を成すのか分からないと思いますが、無料で頼まれたことよりも、こちらの方が大変な侮辱を感じました。
ピアノ伴奏は誰でもいいというわけではないのですよ。
無料であろうと、ギャラが安かろうと、いい演奏をしたい、ベストを尽くしたいと思うのが演奏家です。
あれは添え物、刺身のツマ、では無いのですよね。ピアニストの存在で演奏に影響があるのは当然のこと。
皆さんも、常日頃いい仕事をしたいと考えていて、そんな時に舞い込んだ無料のお仕事の依頼に、その仕事には絶対に必要なパートナーに素人で自分の知らない人を充てがわれたら、
「舐めとんのか、ゴルァ
」と思いません？
」と思いません？いきなりの顔面パンチを喰らったところに
「交通費も出しません」
なんて言われてご覧なさい！
例え無料の依頼でも誠意あるお願いならば、交通費くらいいらないですよ、となるのですが、何ですかこの傍若無人ぶり。
二重、三重に腹立つトラップを巧みに仕掛けられました。
こういうことがありましてね。
もちろん、お断りしましたよ。
はい、それでお終い。チャンチャン。
なのですが、世の中には色んな人がいるものでしてね。
こんな白黒はっきりしてる話に異を唱える人がいるから驚きです。
面白いことに、批判的な意見を持ったのは演奏家（と思われる人）でした。
ま、ほとんどが『やっかみ』ですね。
Facebookにも上がりましたから、そちらのコメントも可能な限り読んだのですが、
最も笑ってしまったのは
売名行為が出来て良かったですね
いやぁ、この人、会って話してみたいです
名前が売れたからって、チケットが売れるわけではないのですよ。ギャラが値上がりするわけでもないのです。
単純に考えてはいけません。演奏というスキルを身につけた人がこのような考えは残念ですが、ま、経験が浅いんでしょうね。
また、いかに、この業界が鬱屈しているか、ということの表れでしょうかね。
毎年、何千という人が音楽大学を卒業しているのに全員が演奏家になれるわけではないですからね。
それに、演奏だけで食べている人はいないと思いますよ。
他には、こういう投稿があると
無料演奏が出来なくなる。
やりづらくなる。
私のせい？
演奏をお願いする方は、予算が少なくなれば有り難いと思ってるところがほとんどでしょうから、ご自分は構わず無料演奏の看板を掲げてればいいのです。
だから、私みたいな人がいたらライバルが一人減ったと思いませんか？
他とは差別化できるんですからチャンスですよ。お陰で私には無料演奏の依頼はあれから来ませんから、お仕事増えたでしょ？
もしもお支払いされたら、寄付しますってお返しすればいいだけのこと。
依頼が来ないのは自分のせいですよ。責任転嫁しないで頂きたいですね。
それから、どうも腑に落ちなかったのは
実力があれば無料でなんて依頼されない。
そうでしょうか。
それではどうして世の中には「無料で仕事をお願いされた」として憤慨した話が蔓延しているのでしょうか。
憤慨してる人はその道のプロの方ばかりですよ。
それとも、憤慨してるのは実力のないプロばかり？
畑のおじちゃんが
「作ったもの無料でくれと言われる」とボヤいていたら
「世界中が注目するような、実力あるカリスマ農家じゃないから無料でくれと言われるのよ！」
みたいなことを言うのでしょうか？
ちょっと考えてみれば分かること。
この発言って、
痴漢をされた人に
痴漢されないようなオーラを放ってないから。
と言ってるようなものですよ。
そうじゃないでしょ。
痴漢するやつが悪い。
そう、
こういうアホなことを言うやつがおかしい。
こういう人って、
イジメられている人にも平気で
「イジメられる方に原因がある」
なんて簡単に言えちゃうんでしょうね。
それから、最大級に破壊力を持ったコメントもありました。
命とお金を天秤にかけるなんて。
ということは、
お医者さんや看護師さん、薬剤師さんなどの医療関係の皆様、これからは無償労働です！！
保育士さんも命を預かるお仕事ですね。
介護士の方だってそう！！！
『命』という括りで考えるならば、演奏家なんて足元にも及びませんよ。
無料でやってくれるピアニストを探せ！
こう言ってる方には「いつ行っても無料で食べさせてくれる高級レストランを見つけてから出直して来い」と言いたいですね。
この発言をしていたのは私よりだいぶ年上の爺様でしたが、いい大人がこんな例え話をしてあげなきゃ理解できないのかと（例え話でも理解できないかもしれないけれど）暗澹たる気分になりました。
それにしても、無料で当たり前という意見があったことに驚きなんですが、そういう方って皆さん
乞食なのでしょうか…
贅沢品にも物乞いするようになったんですね。
この時の出来事とは別の時に、
「施設でボランティア演奏して名前を売りなさい」
と言われたことがあります。
名前を売るために演奏を聞かされる方はたまったものじゃない、と私は思うのですよ。
失礼な話だと思います。
医療関係や老人ホーム関連の施設で（ボランティアではありませんが依頼を受けて）演奏したことがありますが、かなり気を遣いました。
こういったところで、生半可な気持ちや、ましてや、自分の名前を売るために演奏するなんて、とてもとても出来るものじゃないです。
自分の倍以上の人生を送ってきた人や、病気で苦しんでいる人を前に、何を披露出来るというのでしょうか。
選曲にはいつも以上に苦心するでしょう。
演奏するだけでなく、曲の合い間合い間のトークにも気を遣うことでしょう。
こんな風に考えるのは私だけでしょうか？
演奏に、音楽に、真摯に向き合っている人であるならば当然のことと思うのですよ。
施設関係の皆さん、
私に言ってきたような傍若無人な人ばかりではないことは存じておりますが、
皆さんが介護や医療のプロであり、その施設にいる方に誠意を持ってお仕事をしているように、
演奏家もその道のプロであり、演奏を聴いてくれる方のために誠意を持って演奏をしています。
予算が無い、少ない、などの事情もおありでしょう。
でも八百屋でいきなり「その大根、無料でくれ」なんて言いませんでしょ。
事情を話せば無料演奏に応じてくれる人もいるかもしれません。
誠意を持って接して頂けませんか？
でも、その無料でお願いしたこと…
皆さんがお金や時間を掛けて身につけたスキルと何の違いも無いものなんですよ。
ご自分の身に置き換えて考えてみてくださいね。
でもねぇ。
自分は施設で働いて給料貰ってるのに、
その同じ施設に他の人には無料で働き（演奏）に来いだなんて、
普通の神経を持っていたら、
恥ずかしくて言えませんわよねぇ