Q&A484 44才、採卵5回、新鮮胚移植5回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 44才、AMH 1.0、採卵5回、新鮮胚移植5回
Aクリニック
1回目→クロミフェン 4個採卵→顕微受精→1つ正常受精(G2)→2日目新鮮胚移植
2回目→アンタゴニスト 7個採卵→体外受精/顕微受精→4個正常受精(G3)2個新鮮胚移植(2日目新鮮胚移植)残り2個分割ストップ
3回目→アンタゴニスト5個採卵→顕微受精→2個正常受精(G4.G3)2日目新鮮胚移植

Bクリニック
1回目→フェマーラ1個採卵→顕微受精(IMSI)→正常受精(G1)3日目新鮮胚移植
2回目→アンタゴニスト3個採卵→顕微受精(IMSI)→1つ正常受精→2つ未成熟卵
※2回目はこれから胚移植ができるか培養中。
※胚盤胞にはなったことがありません。
※最近のホルモン値:CD3→E2 27.12、PRG 1.37、LH 5.66、FSH 12.23

①高刺激は妊娠率が高いと聞きますが、年齢が高い場合にはフェマーラのような低刺激で毎月採卵していくほうがいいのでしょうか。また、低刺激でも高刺激でも卵子の質には変わりはないのでしょうか。
②未成熟卵になってしまう原因はやはり年齢が高いことによるものでしょうか。
③転院前は低刺激でも高刺激でも次の採卵まで2周期あけていました。理由は反応が悪くなるからだそうです。転院先は低刺激は毎月採卵をし、高刺激の場合は1周期あけるそうです。この方法についての先生の見解はいかがでしょうか。
④卵胞の大きさにばらつきがあります。やはり顕微受精の前周期にはピルを使用したほうがいいのでしょうか。転院先はピルを使用していません。
⑤新鮮胚移植の場合2個胚を移植しても1個の場合と比べ妊娠率に差はありませんか。
⑥分割胚でも凍結し、子宮内環境を整えてからから融解胚移植をすれば、新鮮胚移植よりも成功率が高いのでしょうか。

時間がもうありません。出来ることに最善を尽くしたいと考えております。お忙しいところ恐縮ですが先生ならどのような方法が今できる最善の方法だとお考えでしょうか。ご回答よろしくお願いいたします。

A 
①フェマーラは、卵胞数が少なくなりますので、年齢が高い方やAMHが低い方にはお勧めしていません。低刺激の場合は、クロミフェンを使用し、全胚凍結が良いと思います。また、低刺激でも高刺激でも卵子の質には変わりはありません。単に数が違うだけです。
②未成熟卵が多い原因は年齢ではないと思います。
③スケジュール開始時点の条件さえよければ、低刺激でも高刺激でも毎月採卵が可能です。
④卵胞の大きさのばらつきは関係ありません。AMHが低い方に前周期のピルを使用すると、採卵数が減少しますので、お勧めいたしません。
⑤当然、1個移植より、2個移植の方が妊娠率は高くなります。
⑥新鮮胚より凍結胚の方が、全ての年齢で10%妊娠率が高くなるというデータがあります(日本産科婦人科学会)。

下記の記事を参照してください。
2014.1.17「☆☆「良い卵子」とは?」